「春との旅」を観て

GP

2010年09月16日 02:35

 さて 先日「春との旅」という映画を観に行きました。



以前「王様のブランチ(かな?)」でこの映画紹介を見てちょっと興味を持っていたのですが
友人から招待券をいただいたのでいい機会・・と思い行ってみました。

ここからはネタバレありますので、それでもよければどうぞ!!^^
 主人公は年老いた漁師である忠男(仲代達矢)とその孫娘である春(徳永えり)

ストーリーは公式HPに書いてあるので、そちらを参考にしてもらった方がいいでしょう。

オープニングでは突然、この2人が北海道の増毛にあるボロボロの家から出て行くところから始まりますが
2人の間にある険悪な雰囲気からもタダならぬ旅立ちだな~・・・そんな雰囲気が伝わってきます。

そしてこの2人が忠男の兄弟を訪ねる形で映画が進むのですが・・・

いや~この仲代達矢演じる忠男ってじいさん(笑)って見てて胸くそ悪くなるくらい根性曲がっています^^;それまでの自分のことを棚に上げて言いたい放題、したい放題・・・。

こんな生活続けてきたら、いくら兄弟とはいえ確かに鼻つまみ者になるだろうな・・そんな風に思えるくらいの根性曲がりなじいさんでした。(笑)


でもね・・・

兄や姉、弟のところを忠男が訪ねて廻る中で、このどうしようもなく嫌っている忠男に対してそれぞれが何らか形でも何か手助けしてあげたい・・・そんな気持ちが画面からも伝わってきました。
でも、その兄弟達自身もいろいろな理由(老人ホームへ行ってしまう 又 刑務所にいる そして 事業に失敗し日々ぎりぎりの生活している・・・など)で世話をすることが出来ない・・・その事への無力感と寂寥感、そんな気持ちが伝わってきたのが救いではありました。


春自身も祖父がそれまで疎遠になっていた兄弟達と会う旅に同行していく中で、自分とお母さんを捨てた(それにも理由があるのですが・・)父である真一(香川照之)に会いに行く決心をします。

物語の終盤では、その血縁もない義理の息子夫婦からの同居の申し出に敢えて背を向けるのですが、肉親である兄弟より、短い間だったけど一緒に生活した他人からの同居の申し出を受けた時の忠男の何とも言えない嬉しそうな顔が印象に残りました。

 物語の最後を観て悲しい結末のように感じる人がいるかもしれませんが、俺はあの結末はハッピーエンドだと感じています。

 それは何故か?


忠男は兄弟達に再会する旅の中で、それまでの自分の過ちや他の人達に迷惑をかけてきたことに対する兄弟達からの非難を受け、自分の人生が虚しいものに感じます。

でも、そんな忠男にでさえも一緒に生活しようと言ってくれる人がいる そして 何より自分とこれからもずっと一緒に居ると宣言までしてくれる孫娘 春がいる・・・・。

そんな自分に関わってくれる周りの人達の暖かさにきっと忠男の気持ちも少しだけ人の暖かさを感じることが出来たのでは?そんな風に思うのです。。
そして春にとっては、そこから彼女自身の人生を歩むきっかけとなれば・・そうも思いました。


老いとは?肉親とは?人との繋がりとは?これからの人生で経験するであろういろいろな悩みを見せてくれながら少し救いも見せてくれた・・・見終わった後にそう感じるいい映画でした。


 
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